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隔離のため屋内で生活する際に役に立つ睡眠のコツ

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この情報は、長期間にわたり屋内に留まる必要がある人々のために書かれたものです。寝られる状況になく睡眠不足になっている方々(医療従事者、その補助業務にあたる人、看病をしている人など)は、どうかできる範囲でよいので睡眠や休養を優先してとるようにしてください。

第一部:体内時計と日々の生活リズムを一定に保つには

睡眠をコントロールする要素には、生物学的、社会的、そして環境的な、時間の目安となる事柄があります。これに含まれるのが、日光、食事時間、運動する時間、人と接する時間、その他さまざまな事柄です。長い間、屋内にこもっていると、こうした事柄の多くが失われます。それによって良好な夜間の睡眠や、規則正しい生活が困難になることがあります。そこで紹介したいのが、日常の生活リズムを保つための以下の方法です。

  • 毎日だいたい同じ時間に起きましょう。 起きる時間は自分にとっての昼と夜を固定するいかりのようなものです。起きる時間を固定することで、その後の日中の生活を規則正しく保ち、夜に眠りやすくなります。
  • 朝起きたらすぐ明るい光が目に入るようにしましょう。日中は明るいところで過ごしましょう。 脳内にある体内時計(概日時計)は光によって調整されます。明るい朝の光を、毎朝だいたい同じ時間にあびることは、体内時計を調整する脳への強い合図になります。明るい光には目を覚ます効用もあり、特に寝起きが悪いひとにとってはとても効果的です。カーテンを開けて部屋に日光が直接入るようにしましょう。自然光を取り入れるのが難しい場合は、明るい照明をつけましょう。
  • 毎朝同じ時間に、人との交流を始めるようにしましょう。 外界から遮断されていると、人との接点をもつことが難しいかもしれません。毎朝だいたい同じ時間に、友人や家族と電話かビデオ通話で話すようにしましょう。かるく挨拶して、様子を確認するだけでも効果があります。相手の人もきっと、人間同士のふれあいを喜んでくれますよ!
  • 食事を毎日だいたい同じ時間にとるようにしましょう。特に朝食は決まった時間にとるようにしましょう。 食事にも時間の目安としての役割があり、体内時計を整えます。食事を決まった時間に食べ、生物学的時計のリズムを保つことは睡眠にとって重要なことです
  • 毎日だいたい同じ時間に運動をしましょう。そして長時間座ったままでいることは避けましょう。 室内で運動するのは結構たいへんです。各種動画サイトで、素敵な室内ワークアウトを紹介していて参考にすることができます。7分ワークアウトを例として紹介します)。
  • 日中と夜間の違いを意識して、メリハリをつけるようにしましょう。 日中と夜間をはっきりと区別することで、体内時計がずれにくくなります。日中は生活スペースをしっかり明るく保ち、活動的に過ごすようにしましょう。たとえば、料理、掃除、室内での運動などを行うようにしましょう。夜になったら、照明を暗くして、テレビをみる、読書をするなど静かな活動をしましょう。
  • 就寝1-2時間前からは照明を暗くして、電子機器のブルーライトを避けましょう 暗い環境では生理的なメラトニン分泌が促され、身体の眠る体制が整います。電子機器類のブルーライトを避けるには、ディスプレイの明るさを最低にして、f.lux (各機種対応) やナイトシフト機能 (iOSMac)を使いましょう。(訳注 Windows10でも夜間モードを設定できます)

第二部: 不眠症状の予防と対処

現在のようなストレスの多い状況では、よく眠れない日も時にはあるでしょう。上手く寝られなかったとき、それが長びく不眠へと悪化するのを防ぐために下記の事柄が役に立ちます。

  • 夜によく寝られなかった場合、翌朝以降にするべきこと。

    • いつもと同じ時間に起きましょう。 これは直感的にはおかしく感じるかもしれません。睡眠不足を解消するのにベッドで長時間過ごすことは、体内時計(上の記載を参照)をずらしてしまう可能性があるため、睡眠の改善に適した方法ではありません。また、いつもより遅めに起きることで、その日の晩に寝付くのが、より難しくなる可能性があります。身体は深く眠ることで睡眠不足を解消することを知っておくと、少し安心かもしれません。深く眠ることは、長く眠ることと同じくらい重要なのです。

    • ベッドに入るのはいつもの就寝時間か、それ以降にしましょう。 これは 寝る時間を早めすぎてはいけないということです。 ベッドに入る時間が早すぎると、寝付くのがより大変になります。仮に早く寝られたとしても、おそらく夜中に目を覚ましやすくなったり、起きる時間が早すぎたりするでしょう。

    • 日中は活動的に過ごし、昼寝は避けるか最小限にしましょう。 すごく疲れていて、うっかり寝てしまいそうなら、昼寝も短め(10-20分)にとるのならよいでしょう。睡眠不足だと危険な作業(訳注 運転など)をする状況であれば別ですが、それ以外では20分を超える昼寝はしないようにしましょう。

    • うまく眠れるかを心配すると、よけいに眠りづらくなります。 よく眠れなかったときに「今夜はどうしたら上手く眠れるだろうか」「ちゃんと寝られなかったら、この先やっていけない」といった考えが浮かぶのは全く無理のないことです。しかし、そんな風に考えていると睡眠や就寝時間がなおさら気になってしまうため、かえって眠るのが難しくなります。「無理やり自分を寝かせることは不可能なんだ。体をほぐすことに集中して疲れを癒そう。しかるべき時には眠っているだろう」と自分に言い聞かせてみましょう。

    • 自分の体に備わっている眠るための生理機能を信じましょう。 自分の身体が信じられなくなり睡眠について心配しすぎると、身体が眠るための生理機能を妨げることになってしまいます。

  • 寝付けない時にはどのように過ごすべきか。

    • 寝ようとするのを一旦やめてみるのが一番です。 寝返りをうっては返し、考えがとまらず、眠れないことにイライラがつのっていく夜を経験したことのない人はほとんどいません。経験上、おそらく寝ようとひたすら頑張って早く寝られるということはなかったと思います。逆説的ですが、寝ようとするのを一旦止めて後でもう一度試すほうが早く眠れます。眠くなってくるまで一休みしましょう。このように「リセット」するために一休みしている間、本を読んだり刺激的でない音声コンテンツを聴いたりすることはかまいません。
    • 気持ちをリラックスした状態にして、休むことに集中しましょう。 眠れないことに悶々としている状態では、休んでいることになりません。寝ようとひたすら頑張っている状態では、休んでいることになりません。寝ようとするのを一旦やめることで、そのように頑張ることから注意をそらせます。頑張るのをやめて休むことに集中できると、睡眠に向かう身体のメカニズムが適切に働くようになります。
  • 隔離による睡眠への影響を最小限にするための健康睡眠習慣

    • ベッドに入るのに一番よいタイミングは、 おおむねいつもの就寝時間帯 (早すぎず、遅すぎず) で、かつ 眠気の”波”が来ていると感じられるときです。 覚醒度が下がり、まぶたが重くなり、思考スピードが落ちる感覚が分かるひともいます。 眠気の"波に乗る"ことを覚えましょう。就寝時間帯に波を"捉える"ことができると、すみやかに寝付くことができます。
    • ベッドに入る前、最低1時間は疲れをとるためにのんびり過ごしましょう。 そうすることで心と身体が休まり、眠りやすくなります。
    • 目が冴えて完全に起きてしまっているときや悩み事で頭がいっぱいのときは、寝ようとしてはいけません。 就寝時間にそういう状態だった場合は、寝支度の前に心と身体をリラックスさせる時間をもっと取るようにしましょう。
    • ベッドに入るのは寝るときかセックスするときだけです。 寝室には、ノートパソコンに、ケータイ、テレビ、なんだったら食事も持っていきたくなります。しかし、これによって脳は、ベッドの上が、眠る場所ではなく活動する場所だと勘違いするようになります。やがて、我々の脳は、ベッドの上で眠くならずに、より覚醒するよう学習します。ベッドと寝室を、睡眠とセックスのためだけにとっておくことは、室内で長期間過ごす状況では非常に大切なことです。もしスペースに制限があって、ベッドや寝室を使わざるを得ないときには、片側を睡眠専用、反対側を起きている時間用にすることもできます。こうするのは、日中の活動を行う場所に、本当に他の選択肢がないときだけにしてください。
    • 脳に作用する物質と上手に付き合う。 遅くとも就寝6時間前からはカフェインを避けましょう。タバコも目を覚ますので、夜に吸うことは控えましょう。そして、お酒の量を減らしましょう。飲んだ後に眠くなることもありますが、深夜から早朝にかけての眠りを浅くするため、お酒を飲むことで睡眠にとっていいことは一つもありません。
  • 専門家の助けを借りるべきなのはどういうときか。 睡眠の問題がしばらく続いていて、眠れない日のほうが多くなり、日中の活動に深刻な支障をきたしているとき、また眠れないことによる不安や苦痛が強いときには、かかりつけの医師に相談するとよいでしょう。ほとんどの場合、睡眠障害は治療でかなり改善します。例えば、いわゆる不眠症は睡眠障害のうち最もよくみられるものですが、不眠症に対する認知行動療法は非常に効果的な薬を使わない治療法です。

この記事は、豪モナッシュ大ターナー研究所附属ヘルシースリープクリニックのBei Bei 博士、Shantha Rajaratnam 博士、Sean Drummond 博士と、米スタンフォード大学病院不眠症治療プログラム責任者のDr Rachel Manberによって書かれたものです。 情報源を明示する限り自由に転載してかまいません。Githubレポジトリへの投稿も歓迎します。質問やコメントは [email protected] までどうぞ。(訳に関するご指摘は、@tan93ntまでどうぞ)